今日は、横浜みなとみらいの「氷川丸」を紹介します。
氷川丸は、海に浮かぶ文化遺産として親しまれる、横浜・山下公園の観光名所です。
見てみましょう。
氷川丸とは?

山下公園から見た氷川丸
氷川丸については、入場時にもらえるパンフレットに詳しく書かれていました。
引用して紹介します。
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氷川丸は日本郵船が1930年にシアトル航路用に製造した貨客船です。1920年頃より、欧米が投入した大型船に対抗して、日本も優秀戦を建造しようとの声が一気に高まり、当時の最新鋭の船として竣工しました。戦時中は海軍特設病院船となり、終戦までに3回も触雷しましたが沈没を免れ、戦後は貨客船に戻り1963年にシアトル航路に復帰。船齢30年に達し第一線を退くまでに、太平洋横断254回、船客数は2万5千余名と、大変活躍しました。
1960年に引退した後、1961年より山下公園の前に係留保存され長年にわたり多くの人々に親しまれてきました。2006年に閉館して改装を行い、2008年に「日本郵船氷川丸」としてリニューアルオープンしました。戦前の日本で建造され現存する唯一の貨客船であり、造船技術や客船の内装を伝える貴重な産業遺産として高く評価され、2016年に重要文化財に指定されました。
引用:日本郵船氷川丸パンブレットより
氷川丸をもっと知りたい方は、下記も参照してください。
日本郵船歴史博物館>船の歴史>氷川丸
日本郵船歴史博物館>歴史の生き証人「氷川丸」
氷川丸の地図・アクセス
氷川丸は、横山高速鉄道みなとみらい線「元町・中華街駅」から歩いて3分の場所にあります。マリンタワーのすぐ下といえば分かりやすいですね。

氷川丸の地図・アクセス
JR根岸線「桜木町駅」や「関内駅」も徒歩圏内ですが15分ほど歩きます。いくつかの観光地を歩きながら目指すと良いでしょう。
氷川丸に行くときの注意点
次に、氷川丸に行くときの注意点です。
- 最終入館時間が早い
- 館内は階段が多い
- オープンデッキ開放は休日のみ
氷川丸の見どころ
それでは、実際に氷川丸に入館してみましょう。

氷川丸入場口
氷川丸の入館料は下記のとおりです。
- 一般:300円
- シニア:200円
- 小中高校生:100円
※入館料は、コチラを利用すると割引となります。
気をつけたいのは開館時間です。
氷川丸を見学できるのは17時まで。
横浜みなとみらいというと夜景を楽しみに来る方も多いですが、そのころには氷川丸の最終入館時間は終了しています。
みなとみらいで夜景を楽しむのなら、先に氷川丸を見学してからにしておきましょう。
最終入館時間が早い(16:30)
氷川丸はゆっくり見学して2時間ほどかかります。少なくとも15時には入場しておくことをおすすめします。
氷川丸に入ってすぐの場所に、無料のコインロッカーがあります。

無料コインロッカー
大きな荷物があるときは、預けておきましょう。しかし、コートなどを預けてしまうと、オープンデッキを見学するときに身体が冷えてしまいます。コートなどは手に持って入館してください。
氷川丸は、あまりに山下公園に馴染んでいるため、海底に固定されているなんて噂もありますが、ちゃんと通常の船のように水面に浮いています。

タラップを横から見た氷川丸実際にタラップを横から見ると、波の揺れに合わせて動いていることが分かります。
潮に満引きによって、上下にも変わります。
もし固定されていたら、こういうふうにはなりませんよね。
氷川丸は、しっかりと海に浮いているのです。

エントランスロビー
船内に入ると、すぐにエントランスロビーがあります。

氷川丸のエントランスロビー
エントランスロビーでは、氷川丸の歴史を紹介する映像が流れています。
映像は、後から見ればいいと先を急いでしまいがちですが、まずはじっくり見ておくことをおすすめします。
というのも、氷川丸の館内は順路が一方通行で、先に進むと戻ってこれないからです。
館内を見て回った後に、映像を見たいなと思っても無理。なので、ここで見ておいたほうが良いのです。

エントランスロビーの横では、各種展示物が並んでいます。

氷川丸の船銘板。氷川丸を製造した横浜船渠(株)の証明書にあたるもの
展示物を見た後は、船内奥へと進みましょう。
順路は、実際に使用されていた船をそのまま利用しているため、とても狭くなっています。

氷川丸の順路

客室案内図も当時のまま
ところどころに窓が設置されていますのてで、外を見てみましょう。

順路の奥の窓から横浜みなとみらいの景色


氷川丸が貨客船として使用されていた備品
一等児童室
氷川丸に乗り、旅をするのは大人だけとは限りません。子どもや赤ちゃんもいたでしょう。
船内には、一等児童室が用意されています。

ベビーベッドや木馬が置かれた一等児童室
ここでは、スチュワーデス(今でいう保育士かな)が子どもを預かっていました。
食事やパーティのときに、利用していたようです。
一等食堂
日本からシアトルまでの航海は2週間以上に及びます。
その間の楽しみといえば豪華な食事です。

船幅いっぱいにスペースをとった一等食堂
一等食堂では、食事や給仕の様子など、昭和初期の華やかな客席文化を見られます。

当時の食事のサンプルが並べられたテーブル


穏やかなライトで照らされる食器

窓から景色を眺められるテーブル
一等食堂は、陽の光を差し込んで落ち着きます。

上のデッキに上がる階段

一等読書室
長い航海では、読書に集中したいときもあったでしょう。

ラグジュアリーな空間の一等読書室
一等読書室では、たくさんの書籍が本棚に並べられています。

読書室のオブジェ

一等社交室
長い船旅は、一緒に乗り合わせたお客さんとの出会いも楽しみの一つです。

アールデコ調の一等社交室
一等社交室は、主に女性のお客さんがダンスパーティーなどを楽しむための部屋でした。
ここで、乗客同士、お喋りを愉しんだのでしょう。座り心地の良いソファが並べられています。

一等社交室のレトロな小物

展示室
一等社交室の外には、展示室があります。

ガラスケースに並べられた船の説明と実際に使用された計器
ここでは、実際に使用された計器が展示されています。
今のようにコンピュータやGPSなどなかった時代です。こういった計器で、安全で快適な旅を約束していたのです。

左上:アジマスサークル(方位環)、右上:アジマスミラー(方位鏡)、左下:バロメーター(気圧計)、右下:シグナルミラー(信号機)

一等喫煙室
主に男性が、食後に談笑するための社交場です。

天井が高く設計された一等喫煙室
旧岩崎庭園でもそうでしたが、食後は男性と女性が別れて過ごすのが一般的だったのでしょうか。
男性たちが、煙草と高級なお酒を嗜みながら、カードゲームなどに興じたそうです。

一等客室

当日の面影が残る廊下
一等喫煙室を出て、廊下を歩くと、いくつかの部屋がありました。

ベッドが備え付けられた一等客室
ここは、一等客が利用する客室です。
さすがに広くはありませんが、ダブルベッドに水道が使いやすそうに配置されています。
一等特別室
隣には、さらに豪華なの部屋がありました

船の中とは思えないゴージャスさ、一等特別室のダイニングルーム

一等特別室のベッドルーム
ここは、国賓級の特別なゲストを招くときに使用された一等特別室です。
ダイニングルームとベッドルームに分かれています。
毛布の巻き方が特徴的なのは、来賓をもてなすため。「飾り毛布」と呼ばれ、かぶとや日の出に見立てています。
これらの一等と名がつく部屋は全て一等客以上だけが利用できる施設です。
一等の運賃は片道で約500円。日本郵政の初任給が70円で、1000円あれば家が建った時代でしたから、一等室での航海は、特別な旅だったようです。

屋外デッキへ続く階段
階段の上はデッキです。参りましょう。
屋外デッキ
階段を上がると、船の頂上部分に出ます。

屋外デッキからの景色
横浜の港が綺麗です。


上へ続く階段
さらに階段を上がりましょう。
館内は階段が多い
建築物を保護するため、館内にはエレベーターがありません。運動靴がおすすめ。スカートは厳禁です。
操縦室
船の最頂部には、操縦室があります。

船を操縦する舵と各種計器類
運転士(航海士)が24時間体勢で安全航行に努め、操船した場所です。

操縦式から見た景色
操縦席からは船の前方を見渡せます。とても景色が良いのですが、実際の航海中は景色を楽しむ余裕なんてなかったかもしれません。

大きな氷川丸を操縦する大舵

現在地を表す方位計

操縦室の上の神棚
氷川丸という船名は、埼玉県の氷川神社から名付けられました。なので、神棚には氷川神社の御祭神が祀られています。


A~Zの26文字のアルファベットを割り付けられた信号旗(棚上段)

操縦室周りの各種備品
船長室
操縦室の真下は船長室があります。

木目でまとめられた船長室
全ての指揮の責任をもつ船長の部屋は、操縦室のすぐ下にありました。

オープンデッキ
土曜・日曜・祝日は、船後方のオープンデッキが開放されます。

オープンデッキ
オープンデッキからは、山下公園やマリンタワーを見ることができます。

氷川丸のオープンデッキから見たマリンタワー
オープンデッキ開放は休日のみ
オープンデッキから眺める横浜の港は最高です。せっかく来たからにはぜひ見てほしいです。なので、氷川丸の見学は土日祝日がおすすめです。
機関室
次は、氷川丸の動力部分の見学です。
デッキから階段を降りて機関室に入ります。

船の心臓部、エンジンルーム
氷川丸の動力は、8気筒ディーゼルエンジンで、左右1基ずつ2基を搭載しています。
エンジンは1930年(昭和5)年の氷川丸竣工時の最新鋭で、その当時のままに残された貴重な遺産です。

左:船の計器、右:エンジン音が響く中で操縦室と会話するための電話室

ウォーターライン(喫水線)
機関室の最下層では、頭上にウォーターラインが記されています。


二階層にかけて設置されている機関室の階段
三等客室
機関室の奥につづく通路を進みましょう。

頭上にパイプが張り巡らされた通路
通路の奥には、三等客室がありました。

寝台列車のようなベッドが並ぶ三等客室
ベッド上のみがプライベートスペースで後は共有部分のみ。
今で言うカプセルホテルのようですが、それでも当時では高級ホテル以上の料金がかかったようです。

ヘッドライトに照らされるプライベートスペース

展示室
最後は、船の歴史を紹介する展示室です。

氷川丸の誕生から引退するまでの展示

氷川丸の内部イラスト(竣工当時)
これまで見学してきた氷川丸のことがよく分かるよう展示されています。。
氷川丸まとめ
これにて氷川丸船内の見学は終了です。

氷川丸出口
出口は、入口より下のフロアから外に出ます。
船内から地上に出ると、違和感を感じると思います。
これは、揺れる船内から地面の上に降りたときに生じるもの。大地のありがたさを感じますね。

氷川丸の船倉部分
氷川丸を見ると、海面で揺れているのが分かります。


1896年に造られ、1963年に今の一に移設された白灯台
氷川丸DATA
- 建造所:横浜船渠(株)(現 三菱重工業(株)横浜製作所)
- 全長:163.3メートル
- 総トン数:11,622トン
- 主機:B&W複動4サイクルディーゼル機関 2機2軸
- スピード:18.38ノット(約時速34キロ)
- 船客:一等79名、二等69名、三等138名、合計286名

夜の海に浮かぶ氷川丸